１１月 of 震災日報

先月末、東京都世田谷区八幡山のスーパー「パワーラークス世田谷店」の周辺で高い放射線量が検出された問題で、店舗入口付近の110μSv／hを計測した地点を掘削したところ、４０cmの深さの場所に、口が開いた透明な試薬瓶が見つかり、その部分は40mSv／hという非常に高い放射線量だったことがわかった。
文部科学省では、放射線を出している物質はラジウム２２６の可能性が高いとし、福島第一原発の事故とは関係ないという。
ラジウムはかつて時計の文字盤などの夜光塗料や医療用放射線源などに利用されていたが、発がん性が指摘されたために現在ではほとんど使用されていない。
放射線医学総合研究所などによると、ラジウム２２６は口から取り込むと骨に蓄積しやすいという。
この場所は１日１０分間通っても年間積算線量は６０８μSv／年で、国の定める一般人の被曝限度の１mSv／年を下回るので健康上の問題はないという。
——これまで計測されなかっただけで、他にも放射性物質がずさんに捨てられている場所はあるのだろう。

１日に福島第一原発２号機で行われた分析によると、格納容器から核分裂反応が起きた時にできる放射性物質のキセノン１３３とキセノン１３５が検出されたことが明らかになった。これは核燃料のウラン２３５が核分裂してできるものだ。
東京電力では再び核分裂反応が起きている可能性が否定できないとして、午前３時前から１時間にわたり、原子炉に核分裂反応を抑えるホウ酸水の注入を行った。
東京電力によると、原子炉の温度や圧力、敷地周辺の放射線量のモニタリングポストの値に大きな変動はなため、核分裂反応の規模は小さいとしている。

１０時２３分頃、茨城県北部を震源とする最大震度５強を観測した地震が発生した。
マグニチュードは5.5、震源の深さは１０kmだった。
震度５強を観測したのは茨城県北部、日立市などで、宮城、福島、栃木、埼玉、千葉といった広い範囲でも震度３を観測した。

朝日新聞が政府の「エネルギー・環境会議」のコスト等検証委員会の公開データで発電コストを試算したところ、２００４年の政府試算より４割高い、発電量１kWあたり約7.7円になることがわかった。

１９時２５分頃、北海道浦河沖を震源とする最大震度５弱の地震が発生した。
マグニチュードは6.1、震源の深さは３０kmだった。
震度５弱を観測したのは北海道日高地方東部、浦河町で、そこを中心として青森県下北などでも震度４を観測した。

政府の地震調査研究推進本部の発表によると、三陸沖から房総沖で起きる恐れのある地震で、マグニチュード９クラスの発生確率は、今後３０年以内に３０％の確率で起こると予測した。

栃木県は、矢板市、佐野市、茂木町で原木栽培された乾燥シイタケから暫定規制値（１kgあたり５００bq）を越える放射性セシウムが検出されたと発表した。
検出された放射線量は、矢板市では２４００bq、佐野市で１１００bq、茂木町では１２００bqであった。
これら乾燥シイタケは出荷前であった。

細野豪志原発相は、高速増殖炉もんじゅ（福井県敦賀市）について、廃炉も含めて検討していく意向を示した。
細野大臣はもんじゅは「一つの曲がり角に来ている」と指摘、「年月が経っていて設備が若干古い」「様々なトラブルがあった」ことを理由に挙げ、「検討し、何らかの判断を来年はしなければならない」と強調した。
もんじゅはこれまで１兆円程度の予算を投じたが、１９９５年の冷却用ナトリウム漏れ事故移行ほとんど稼動していないのに、維持管理だけで１日あたり５千万円以上かかっており、政権内でも「ゼロベースで検討すべきだ」（枝野経済産業大臣）という声も出ている。

福島第一原発で事故収束の陣頭指揮を執ってきた吉田昌郎所長（５６）が、病気のため入院し、退任することになった。
東京電力によると、健康診断で病気が見つかり２４日から入院したが、プライバシー保護のためとして病名は明らかにしていない。放射線被曝との関連はないという。
吉田所長は１２月１日付けで退任し、後任には原子力運営管理部長・高橋毅氏（５４）があたる。

枝野経済産業大臣は、吉田所長の病気と被曝の関係について、結果が明らかになれば公表する考えを示した。

追記：後日、病名が食道がんであり、原発事故による被曝との関連性は極めて薄いと発表された。

９時半頃、新潟市の林で男女が首を吊って死んでいるのが見つかった。
近くの乗用車内からは放射性物質の名前が書かれたメモと缶が見つかり、缶の表面で比較的高い放射線量を検出した。