夢助／THE KING of LIVE RC SUCCESSION

忌野清志郎
２００６年１０月４日／ＣＤ／ユニバーサルジャパン

清志郎が最も敬愛するミュージシャン、オーティス・レディングのバックバンドを務め、その後もブルース・ブラザーズ・バンドやブッカー・T＆MG'sなどで活躍し、「Memphis」でも共演したギタリストのスティーブ・クロッパーをプロデューサーとして制作された。
喉頭がん発覚直前のため声がかなり悪くなっており、聞いていてつらい。 実を言えば筆者も似たような声帯の病気を持ってるんだけど（悪性じゃないけどね）、たしかに声帯にデキモノができているとこういうくぐもった声になってしまう。
筆者の場合、何度か声帯の外科手術をしてずいぶん声が元に戻った。清志郎は歌うために声帯の手術を拒んで薬物／放射線治療のみをおこない、結果的にはがんが転移して亡くなってしまった。
切除する程度にもよるし、切除しなくても死は避けられなかったのかも知れないから、あんまりいい加減なことは言えないけれど、もし声帯の手術をしていてくれたら、歌も普通に歌えるようになり、またがんも治っていた可能性もあったんじゃないかと思うと残念だ。
清志郎としての最後のスタジオ録音アルバムとなってしまった。

誇り高く生きよう

作詞・作曲／忌野清志郎

政治家とか官僚とか、金と権力にまみれ、誇りも何もないのがよく報道されたりするよね。むろん一般人でも。そんなことに刺激されて作ったんだろうか。
やっぱりボロは着てても心は錦。金儲けのために生まれたんじゃないぜ。やりたいことをやって飢え死にするのなら満足なのさ。誇り高く生きよう。

ダンスミュージック☆あいつ

作詞・作曲／忌野清志郎

ライブでは「ダンスミュージック、梅津！」ってサックスの梅津和時をネタにしていることが多かった。

激しい雨

作詞・作曲／忌野清志郎・仲井戸麗市

チャボが、「今この歳になって、清志郎の口からRCサクセションって歌ったらどうだろうな」という思いからこの歌が共作された。
解散以降、自らの中のRC的な音楽性と距離を置こうとしてきた清志郎が、時とともにRCと向き合えるようになった証しのような象徴的な歌。
そんな矢先にがんが発症して帰らぬ人になってしまったのはなんとも皮肉なものだ。
チャボと作ったオリジナルはもっとリズムが勇ましかったのだが、スティーブ・クロッパーのアレンジで見事にR＆Bサウンドになっている。

花びら

作詞・作曲／忌野清志郎

涙のプリンセス

作詞・作曲／忌野清志郎・三宅伸治

残り香

雨の降る日

作詞・作曲／忌野清志郎

「シングル・マン」以前に作られた古い古い曲。

THIS TIME

作詞・作曲／忌野清志郎・Steve Cropper

「夢を持ってるかい？」清志郎晩年のテーマとも言えるメッセージだ。
清志郎の夢の一つだったであろうオーティス・レディングゆかりの人達との共作。むろんアルバム「Memphis」ですでに一度実現しているが、今回その夢をさらに強く現実のものとした。
後付けで考えると、死が近づいた清志郎を神様がメンフィスに呼び寄せ、それに応える形で作った歌のようでもある。

温故知新

作詞・作曲／忌野清志郎

毎日がブランニューデイ

作詞／忌野清志郎　作曲／仲井戸麗市

奥さんのことなんかを歌っているようでもあるし、過去の感情のもつれなんかを超えて再び一緒に曲作りをしたチャボに、「昔のことなんか忘れてこれからも友達でいて欲しい」って言っているようにもきこえる。
最近のチャボが作ったっていう感じがよくわかる曲調だ。

オーティスが教えてくれた

作詞／忌野清志郎　作曲／Steve Cropper

NHKの番組でオーティス・レディングゆかりの地を訪ね、そしてできたスローナンバー。
最後に「（オーティスが教えてくれた）戦争をやめること」って歌っているのだけれど、オーティス自身は反戦の歌は歌ってないはずだよね。だからちょっとこじつけっぽいのが気になるけど、清志郎はオーティスのラブソングから、間接的にそういうメッセージを受け取ったんであろう。

NIGHT AND DAY

作詞・作曲／忌野清志郎

ダイアモンドが呼んでいる

作詞・作曲／忌野清志郎

あいつの口笛

作詞／忌野清志郎　作曲／細野晴臣

「自転車を盗まれ〜」のくだりは、実際に清志郎愛用の自転車オレンジ号が盗難にあったことである（自転車は数日後に発見され、無事に手元に戻った）。
当然「オレンジ色の風」というのもオレンジ号のことだ。