絵／THE KING of LIVE RC SUCCESSION

（仲井戸麗市）
１９９０年２月２１日／ＣＤ／東芝ＥＭＩ

チャボのセカンドソロアルバム。
前作が攻撃的であったのに対し、今作は大人の落ち着きを感じさせる。テーマは「自由」。
今作は「ひさこと彼女の父と、コラに捧げる」とある。コラと言うのはチャボの飼っている犬。別な名前があったのだが、いたずらするたびに「コラ！」と叱っていたらそれを名前と勘違いしてそれに返事するようになったのだそうだ（笑）
前作「～BOOK」の攻撃的なナンバーを予想／期待していたため、最初聞いたときにはちょっと拍子抜けした。
今作がおとなしめな大人っぽいアルバムになっているのは、前作で怒りを全て吐き出してしまったためというのもあるのかも知れないが、ここ数年のCOVERS発売中止事件などにうんざりして、“怒り”とかをテーマに歌いたくなかったのかも知れない。

ホームタウン

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

ジャケットの詩にあるように、チャボが少年時代を送った新宿の街がテーマ。

夜のピクニック

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

お前と二人、ベッドを抜け出してあてもない気ままなピクニック。さあ今夜はどこまで行こう。

ジャングル

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

俺だけの自由を謳歌できるジャングル！
まさにジャングルビートなギターのリフなどがさすが。

ムード21

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

21世紀が迫るこの高度な文明社会、みんなすげぇ前向きに忙しく生きているのに、なのに俺だけ引込み思案。でもそんな俺だってそんなに変じゃないじゃんかよォ！
んーでもやっぱり…。またまた自嘲的な歌。
この頃はちょうどバブル経済の時期だったんで、社会は目まぐるしく空回りしていた。

少女達へ

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

薄っぺらい将来像を心に描きつつ、ダラダラとその日その日をすごす若者達への軽い皮肉をこめつつ、どこか若き日の自分をだぶらせるのか、突き放しきれない。
無邪気な君の心信じよう。
少年達というタイトルにすると“いかにも”なので“少女達”にしたが、それは少年達をも含んでいるとのこと。

グロテスク

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

マスメディアによって見たくもないのに見せられる世間の薄汚れた一面。そしてついついそれに興味引かれてしまう自分も、その下世話さを助長している一人なのかも知れない。
渋谷君か誰かが、遠藤ミチロウと泉谷しげるが作りそうなタイトルだって言ってたっけ（笑）

インターミッション

作曲・編曲／春日博文

グロテスクから続くインストナンバー。

慕情

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

フォークソングっぽいスローナンバー。

ねぇHISAKO

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

ついに出ました、奥さんの名前を冠したナンバー。
写真集「Mr.&Mrs.」の撮影時にロンドンに渡った際の税関でのトラブルなどがモチーフになっているような気がする。
でも過激に走らずに「すぐに助けに行くよ」とやさしく奥さんに語りかけている。
「舞い上がってった天使と引き替えに紛れ込んだ迷子～」の一節は、長年飼ってきた猫のニャニャが亡くなり、犬のコラがやってきたことを言っているのだろう。いや、逆だったかな？

自由の風

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

そして自宅＝シャバに帰って来てお前と一緒にいれば…。
ねぇHISAKOから続く短いナンバー。

エピローグ

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

プシー音楽調のナンバー。
終わり行くもの、終わり行かねばならぬものへ捧ぐエピローグ。

ホーボーへ（アメリカンフォークソングへのレクイエム）

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

道の続く限りどこへでも他へ行けるそんな大陸的精神。
こんな自由を謳歌したい。ある種憧れを乗せて歌われる。

スケッチ '89・夏

句／加藤龍明
作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

父の俳句を織り込んでいる。
風鈴によしず、朝顔の鉢植が置いてあるような、そんな夏の情景が目に浮かぶ。蚊取線香の煙がブタの口から流れては消えて行く。
そして現代、俺は首都高速の渋滞に悩まされてノロノロ運転の車の中で現代なりの夏を体感している。

潮騒

作詞・作曲／仲井戸麗市
編曲／仲井戸麗市・春日博文

日差しもじき弱まってきた晩夏、一緒に海にでもいようよ。
終わり行く夏のある一日情景。