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ＲＣサクセションの作品MARVY
１９８８年２月２５日／ＬＰ／東芝ＥＭＩ EASTWORLDレーベル
RCとしては久しぶりのニューアルバム。しかも初めてのレコード２枚組オリジナルアルバム。（CDでは１枚）
「CDの最大収録時間に合わせました。レコードなんて古い。ぼくらは常にCDのことを考えて作ってます！」とは清志郎の弁（苦笑）
当然曲も16曲と多く、渋谷君にさんざっぱら「（レコード）１枚に曲をしぼればいいアルバムだったのによぉ」と突っ込まれていた。確かにちょっと冗長的な感もある。
「FEEL SO BAD」の過激さと「HEART ACE」のやさしさを合わせたアルバムと評されているのを見たことがある。結構いい目の付けどころかも知れない。
WOLF SIDE
DIGITAL REVERB CHILD
作詞・作曲／忌野清志郎、春日博文
タライ回しにされるよりむしろ 君のラタイが見たい
急いではいるけどかまわんさ
リラックスさせてくれるなら リラックスさせてくれるなら
君に会えてうれしい まるで超電導 ノーベル賞
CDの音が鳴り響くこのホールで
DIGITAL REVERB CHILD 君はDIGITAL REVERB CHILD
新人類と呼ばれた軽薄な若い世代に向けての牽制の歌だが、逆に言えば若いやつらについていけなくなったオヤジのぼやきともいえる。
サビのギターのリフは「よくこんなのが思いつくな」と感心した。
タライ回しとは、過去にRCがあちこちのレコード会社や事務所をたらい回しされたことを言っているそうである。
MIDNIGHT BLUE
作詞・作曲／忌野清志郎
眠れないやつらが騒いでる 今夜もおかしくなっちまう
ぶっ飛ばせMIDNIGHT ぶっ飛ばせMIDNIGHT
狙われてるぜ 油断するな 油断するな
狙われてるぜ 覆面して待ち伏せてる
点数稼ぎのさえないヤツら
警察の交通取り締まり行政についてのストレートな怒り。
ドラッグのことを掛けて歌っているらしいが、よくわかんないね。あ、MIDNIGHT BLUEってのがドラッグの名前なのかな？
後半、金子マリのコーラスが入ってくる。
FULL OF TEARS／涙あふれて
作詞・作曲／忌野清志郎
涙あふれて歌ったら きっとみんなは喜ぶだろう
だけどあの娘は泣いてる僕をとても嫌がるのさ
歌謡界のお涙頂戴的な風潮を嘆いた歌。
AN OLD STORY（ありふれた出来事 PART２）
作詞／忌野清志郎
作曲／武田清一
夕べ彼女と二人 海を歩いた 歌の文句のような恋人同士さ
流れ星一つ二人のために
彼女抱き寄せそこで目が覚めた
ぼくのあの人 遠いところに行ってしまった
高校時代、Remainders of the Cloverで一緒だった武田清一のグループ「ひぐらし」の「ありふれた出来事」の歌詞を変えたもの。
南国風のアレンジ。
CALL ME
作詞・作曲／忌野清志郎
もしも一人で寂しい夜は ぼくにぼくにすぐにCALL ME
君に贈るよ テレフォンカード 二人の愛を確かめたいのさ
夕べのこと こないだのこと どう思ってるの？
いつでも僕を呼び出しておくれ
なんかR&Bの原点を見るような内容の歌だよね。
テレフォンカードなんて当時の物が歌詞に入ってるわけだけど（今もまだあるけどさ、一応）、今歌うんなら「君に贈るよ 携帯電話〜」とかなるんだろうなあ。でも携帯電話をプレゼントするのは金額的に勇気がいることです。
COOL FEELING・クールな気分
作詞・作曲／忌野清志郎
どんな言葉もいらない 甘い吐息が欲しい
どんな時でもかまわない 今、お前が必要
黙っていても二人見つめあうだけで
なんだかクールな気分
GS（グループサウンズ）を意識して作ったとか。
THE ACCOMPLICE・共犯者
作詞・作曲／忌野清志郎
わけもわからずに 追いかけ回されて
逃げ回らなきゃならない時 かくまってくれるかい？ 僕を
ずいぶん切実な内容の歌だけど、自分を犯罪者に例えての歌っていうのは、自分で身に付いていないことだけに、どうも共感が湧かない。映画的、劇場的な歌も悪くないが、清志郎には似合わないと思う。
二日酔いでデモテープ作りに追われて作ったそうな。
同時期に矢沢永吉も同じ「共犯者」って歌出してたっけ。
遠い叫び
作詞・作曲：仲井戸麗市
何の罪もないはずなのに 何らかの罰を受けてる
自分で蒔いた種でもないのに 咲き乱れた花つまされる
くたばっておさらばするまで 誰の手にもかからない
遠い夜をうろついてる 知らないだろ 永遠のならず者達を
チャボの歌。チャボの暗さ爆発といった感じ（苦笑）
後にアニメ「lain」の主題歌としてセルフカバーされたが、こっちのバージョンの方が好き。
FISH SIDE
HONEY PIE
作詞・作曲／忌野清志郎
死にたくなるぜ 煮詰まるeveryday
泣きたくなるぜ つらいつらい
Just now お前を抱きたい じっとしていられない tonight
GIRL, I just want to make love to you, baby love
"I just want to make love to you"というのはブルースの巨匠マディ・ウォータズの曲名より。
Marvy発売以前に吉川晃司にも提供された。
GIBSON（CHABO'S BLUES）
作詞・作曲／仲井戸麗市
なにをみんなつべこべ そういう俺もつべこべ
それより金でもためて あのショーウィンドウの
ギブソン手に入れ あの娘にブルースを聞かせよう
やったー！ って感じのチャボのギター少年的感性全開のナンバー。
高くて少年の手には憧れの存在でしかない、ギブソン社のギター。「でもいつか買ってやるぞ！」って仲井戸少年の心は弾むのだった。
サビの「ギブソ〜ン、手に入れ〜」のところの曲って、誰かの他の曲で聞いたことあるような気がするんだけど、気のせいかな？
チャボのソロアルバム「Works」に、もっとブルージーな感じでセルフカバーされている。
空が泣き出したら…／The Sky is Crying
作詞・作曲／忌野清志郎
石ころ蹴飛ばして 一雨来ないかと
君のように 空も泣き出せばいいのに
ぼくはバイクに乗っかって 君の涙をふきに行こう
どうってことはないのさ
人の心は空と同じように変わりやすいということを歌っているそうだ。
あんまり深みはない歌だよね。
夢中にさせて・Make Me Crazy About You
作詞・作曲／忌野清志郎
あんまりきつく抱いたから 胸のボタンが取れたのさ
思ってもみなかったことさ こんな気持ちになるなんて
もっとBABY もっとBABY夢中にさせて このぼくを
ヤクルトのCMソングになった。まあなんちゅーか、普通のラヴソングだよね。
DANCE
作詞・作曲／忌野清志郎
さっきからずっと順番を待ってる
俺の番が来るのをずっとずっと待ってる
早くドアを開けて中にいれて
暖めておくれ 冷えた体
「世の中全部順番だ」ってことを歌ってるらしいんだけど、そのまんまやん（苦笑）
あとやっぱりナンパの歌なんだって。なんかピンと来ないよね。
曲はブルースの大御所John Lee Hookerの「Boom Boom」って曲をおおいに参考にしてる。
俺は電気
作詞・作曲／B.NELSON
補作／仲井戸麗市
ピカっと光ってスパっと消えよう 誰か触ればショートしちまう
Don't touch me 触らないで おれは電気
お前をしびれさせたい！
Bill Nelson's Red Noizeの「Don't Touch Me (I'm Electric)」という歌のカバー。これもノリが良くっていい曲だなあ。
ビルの原曲を聞いたが、これよりはもうちょっと遅めのテンポのテクノだ。チャボがこんな歌をカバーするってのは意外だ。
SHELTER OF LOVE−ツル・ツル
作詞・作曲／忌野清志郎
ツルツル…
すべりだすREAR 君へのTHE LONG WAY
ハンドルとられる 降りしきるHIGH WAY
AH AH ぼくをシェルターの中に入れておくれよ
君のシェルターの外で僕は叫び続ける
次のアルバム「COVERS」に通じる原子力問題を扱った歌。16ビートのカッティングが気持ちいい。
インタビューで清志郎は、「遠回しに、遠回しではありますけど、やっぱり大人としてですね、そういう問題も少しは触れていくべきかなと思って」と語っている。
チェルノブイリ原発事故などには強い関心を示しつつも、それほど深く考えずにプロテストソングを作っていたようだ。
ツルツルってのは放射能で髪の毛が抜けてしまうことを言っているんだけど、曲がかっこいいだけにツルツルはねぇと思うけどなあ。あんまりジョークを入れるとコミックソングっぽくとられちゃうもんね。ひょっとしてあんまり真面目に取られすぎないようにオブラートに包んだのかな？
NAUGHTY BOY
作詞・作曲／忌野清志郎
離れ離れの心は 二度と元には戻りそうもない
いたずらっ子だったあいつも 俺が仕掛けた罠を鼻であしらう
何がそんなにおかしいの？
何が変わった いつからそんなに 落ち着いていられるの？
NAUGHTY BOYというのはいたずらっ子という意味で、「RAZOR SHARP」のレコーディングでロンドンに渡った清志郎がそう呼ばれたことに由来する。
かつて子供だった友人も、いつしかオヤジになってしまい、なんかちょっと寂しいようなそんな気分。でもそう感じる時点で、すでに自分も十分にオヤジになっちゃってるんだよね。
